泥棒対策として重量30キロの自宅金庫に2000枚の100円玉を
【元自衛官の2億円貯める節約術】(3)
海上自衛隊には海軍時代から続く、「出船の精神」という戒めがある。
「漁船は船首部分の舳を岸につけて係留しますが、戦艦は船首を海に向けて停泊させます。1分1秒を争う緊急時に迅速に行動に移せるよう、次にやることの準備を怠らないという意味で使います。私はこの出船の精神で、いつ自衛隊を退職しても困らないように節約と投資をしてきました」
ただし、お金の無駄を考えていくと、時間の無駄の方が大きいと気付いたという。なぜ“節約”につながるのか?
「10円、20円を“節約する”ため、遠くのスーパーまで自転車で買い物へ行く人がいます。運動不足の解消など一石二鳥を狙う理由があればわかりますが、これは時間の無駄です。私は現役隊員時代、どうしても参加しなくてはいけない職場の飲み会以外は、“お金を払って”欠席していました。自宅でゆっくり本も読めますし、翌朝もすっきり目覚められます。もちろん、自販機で買っている水やお茶をドラッグストアやディスカウントストアで購入するのは、今すぐ無理なく始められる簡単な節約です」
さらに、船乗りならではの「5分前の精神」というのもある。
「海上自衛隊では、すべての行動において5分前に完了させることが徹底されています。国旗掲揚の際も凍えながら10分前には待っていた。これは単に5分早く作業を始めるというのではなく、常に一歩先のことを考えながら行動するためです。私はこれまで砕氷船『しらせ』の南極観測を含め、7大陸33カ国を訪問し、早くから海外に住みたいという意欲を持っていました。実際に今は、年間の3分の1をタイのバンコクで過ごし、そこからLCCを利用してスリランカなど方々に旅行しています」
元自衛官らしく、盗難防止策もかなりユニークだ。
「私の自宅にある金庫は3万円で買った重さ30キロのものです。これに100円硬貨50枚の束を40本(約10キロ)や資産としての金の地金などを入れてあります。指紋認証式など10万円以上もするような高い金庫を買わなくても、重量があれば、万一泥棒が入っても持ち出しづらくなる。近い将来起きるであろう大災害に備え、自宅の権利書や保証書、生命保険などの重要書類を焼失させないよう金庫に入れる人が増えていますが、高価な金庫は必要ありません」
屈強な泥棒も40キロ以上の金庫をエッチらオッチらしていれば目立ってしょうがない。防犯対策は工夫次第だ。=つづく